工業簿記は商業簿記と違い問題の解答が連動している場合が多く、正しい計算過程さえかけてしまえばほとんどの解答欄を埋めることもできるからです。
今回ご紹介する記事を見て頂ければ
工業簿記の正しい理解の仕方がわかる
工業簿記を攻略する為のヒントが見つかる
工業簿記で高得点が取れるようになる
それでは工業簿記のコツについてご紹介していきたいと思います。
もくじ
工業簿記を理解する為のたった2つのポイント
各範囲の概要をしっかりと把握する
問題を読んでも何をしていいのかわからないというケースがある場合は、試験範囲をしっかりと把握していない場合があります。
まずは各試験範囲の内容をしっかりイメージしながら問題を読むことができるようになりましょう。
例えば以下のようなイメージです。
工業簿記の範囲イメージ
個別原価計算・・・オーダーメイドで特注で作る製品。製造指図書で個別に原価集計
総合原価計算・・・既製品で大量生産。生産データで原価を計算
標準原価計算・・・標準原価カードがある計算。差異分析などを行う
直接原価計算・・・原価を変動費・固定費に分解して計算
CVP分析 ・・・製品を作る前の利益計画を行う(だから損益計算書で予想立てる)
こうしたイメージがあれば「これは指図書の話があるから個別原価計算。生産データだけ与えられてるから総合原価計算」と何の計算を使えばいいのかわかってきます。
それぞれに適した計算過程を覚える
各単元についてグルーピングをしっかり意識できたら、それぞれ必要な計算過程をしっかりと覚えましょう。
計算過程をしっかり覚えないと、問題を見ても何をすればいいのかわからず不正解になるケースが多いです。
また、読み取りができても「何の計算過程を書けばいいんだっけ」と問題と必要な計算過程の組み合わせがパッとでてこなくて解答ができない事も工業簿記の点数が伸びない原因です。
これを解消する為に問題文からどの計算過程が必要なのかパッと頭に思い浮かぶトレーニングをしてください。
計算過程を使用する主な組み合わせとして、具体的には以下の通りです。
- 個別原価計算・・・製造指図書
- 総合原価計算・・・仕掛品のボックス図
- 標準原価計算・・・仕掛品のボックス図+差異分析の図(シュラッター図など)
- 直接原価計算・・・ボックス図
- CVP分析 ・・・変動費・固定費分解をした損益計算書
全体像を把握する為のポイント:コストフローを覚えよう
材料を仕入れてから製品が完成し、販売するまでの製品の一連の流れがコストフローです。
コストフロー図
コストフローを覚えるとそれぞれの勘定科目(材料・仕掛品・製品など)がどのようにして流れていくのかがわかるようになります。
また、工業簿記の仕訳が苦手なんてことはありませんか?
コストフローを覚えていれば仕訳も理解できるようになるので合わせてマスターできます。
工業簿記を攻略するための主な計算過程
ここからは先ほどご紹介した工業簿記で使う主な計算過程の組み合わせについて具体的に図解を用いてみていきたいと思います。
※リンクですぐ飛べるようにしておく
個別原価計算:製造指図書
総合原価計算:ボックス図
標準原価計算:ボックス図+差異分析の図
直接原価計算:変動・固定を分けたボックス図
CVP分析:簡易的な損益計算書
個別原価計算:製造指図書
個別原価計算ではその名の通り製品一個一個の原価を集計して計算する方法です。
この際に用いるのが製造指図書です。
製造指図書
材料費・労務費・製造間接費の集計も大事ですが、備考として「仕掛中」「完成・未引渡」「引渡済」もしっかり記載することも忘れないようにしてください。
この備考欄ではそれぞれ製造原価がどの勘定科目に行くのかを表しています。
個別原価計算の備考欄のポイント
「未完成」 ・・・月末仕掛品
「完成・未引渡」・・・完成品原価
「引渡済」 ・・・売上原価
総合原価計算:ボックス図
総合原価計算は生産データが与えられる問題なので、ボックス図を用いて解答しましょう。
ボックス図
ボックス図を用いて月末仕掛品原価が出せれば解答欄に関してはしっかりと埋めることができます。
ボックス図を用いた計算は「平均法」「先入先出法」があります。計算過程の詳細が知りたい場合にはパブロフ簿記さんで細かく紹介されています。
ボックス図を書く上で注意したいのが仕損品や減損です。
仕損品・・・作業途中で失敗して正規の価格では売れない品
減 損・・・作業途中で蒸発等の理由によりなくなってしまうこと
これらの問題には検査点があり、始点や途中一定点、終点など発生するタイミングで数量や換算量の計算が複雑になるので、どの検査点で発生しても対応できるようにしておきましょう。
標準原価計算:ボックス図・差異分析の図
標準原価計算は標準原価カードと生産データが与えられる問題になります。
この問題のポイントとしては
- ボックス図をしっかりと書く
- 材料・労務費・製造間接費の差異分析図をしっかりと書く
この2点ができればしっかりと得点できます。標準原価計算については一度覚えてしまえば後はパターンで解ける問題が多いです。
標準原価計算のボックス図
材料・労務費の差異分析
製造間接費の差異分析
ボックス図に関しては総合原価計算と同じ書き方になります。
差異分析は材料費・労務費は一緒のボックスで、製造間接費はシュラッター図という3種類の差異を出すことになるので、それぞれどの数字が各差異なのか数字の取り違いをしないよう注意しましょう。
直接原価計算:変動・固定を分けたボックス図
直接原価計算で重要なのは変動費・固定費を分けることです。
直接原価計算のボックス図
固定費調整
変動費・固定費を分けてボックス図を作成し、それぞれの原価を解答欄へ記入していきます。
変動費・固定費に分けて計算する理由としては、固定費調整の金額を算出するためです。
固定費調整では固定費の金額について解答記入が問われていきます。
金額を分けておくことによって変動費・固定費を合わせた全部原価(変動費+固定費)の金額も把握することができ効率的です。
CVP分析:簡易的な損益計算書
CVPの損益計算書では、簡易的な損益計算書を作成しましょう。
売上から変動費を差し引いたものが貢献(限界)利益、そこから固定費を引いて営業利益です。
問題解答上必要なものはこの計算過程と貢献利益率を必ず出しておく必要があります。
メモ
貢献利益率=貢献利益 ÷ 売上
この2つがそろっていれば損益分岐点や希望営業利益の計算ができるようになり、満点が取れるようになります。
まとめ:全体像の理解と正しい計算過程で工業簿記を攻略しよう
工業簿記のコツをしっかりとつかめばしっかりと得点が取れるようになります。
工業簿記のポイント
- コストフローを覚えて仕訳を理解する
- それぞれの問題に必要な計算過程を覚えて徹底する
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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